著者:GOZEN AI Lab管理人
生成AIエンジニア(オープンバッジ取得)生活や業務に潜む「面倒くさい」を手放すため、生成AIを活用した業務効率化施策、自動化ワークフローの構築・運用などを手がけ、実践と継続的な改善を通じて仕組みづくりを推進している。
結論:もう「探す時代」は終わった。AIによる“情報戦略”。
従来の検索エンジンは、入力されたキーワードに関連するウェブサイトの「リスト」を見せてくれるものでした。それに対してGenspark(AI検索エンジン)は、AIが複数の情報源から必要な情報を集め、まるで誰かがあなたの質問に直接答えてくれるかのように、分かりやすく「まとめて」提示してくれるのが特徴です。
この記事では、Gensparkとは一体何なのか、そしてどのように使えばあなたの情報収集を効率化できるのかを、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説します。
Gensparkとは?
GoogleやYahoo! JAPANなど、私たちが普段使っている検索エンジンは、キーワードに合ったウェブサイトのリンクをずらっと並べる仕組みになっています。しかし、これらの検索エンジンを利用する際、ユーザーは表示された複数のリンク先を一つ一つ確認し、必要な情報を比較検討しながら自分で整理する必要があるため、多くの時間と労力がかかってしまうという課題がありました。
こうした課題を解決する為、「検索ワードを入力するだけでAIが関連する情報を集めて、わかりやすく整理してくれる」AI検索エンジンが「Genspark」です。
また、GenSparkは情報提供だけでなく、目標達成のための「思考→計画→行動」までを一貫して自律的に実行でき、ユーザーは複雑なタスクも簡単な指示だけで完結させることができるようになりました。
Gensparkの機能
スーパーエージェント機能
これは従来の指示待ちAIとは一線を画し、目標を与えるだけで自律的に計画を立て、必要なツールを駆使してタスクを完遂できる画期的な機能です。
- 9種類のLLM(大規模言語モデル)を搭載し、タスクに応じて最適なモデルを選択
- 検索、予約、音声合成など80以上のツールを統合
- 非同期技術による高速処理で複雑なタスクも瞬時に実行
- 複数のデータセットやツールによるクロスチェックで精度を確保
例えば「2025年のAIの主要トレンドと今後2年間の予測を教えてください。」と指示してみると、下記の様に幅広いソースから関連情報を収集・分析してくれます。
AI電話機能
この機能を使えば、レストランの予約や問い合わせなど、電話でのコミュニケーションをAIが代行してくれます。
- 自然な音声でレストラン予約や問い合わせを代行
- 日時、座席、アレルギー対応など細かい条件も正確に伝達
- 相手の質問に適切に応答する対話能力
- 予約完了後の確認情報をテキストで報告
実際の利用例では、ユーザーが予約したい日時と連絡先をプロンプトで入力するだけで、AIが自動で電話をかけ、スムーズに予約を完了させています。
AI Slides(AIスライド)機能
この機能は、様々な形式のファイルから自動でプレゼンテーション資料を作成できる機能です。
- PDF、Excel、Wordなど異なる形式のファイルを一括で読み込み可能
- わずか数分でプロフェッショナルなプレゼン資料を自動生成
- 自然言語での指示で細かな調整が可能(「もっとビジネスっぽくして」など)
- 自動的に学術論文や関連情報を収集し、内容を充実化
- ユニークなデザインスタイル(ポップアート風、ピカソ風など)も簡単に適用可能
例えば、形式の異なる複数の請求書をアップロードすると、財務状況や支払い条件を見やすくまとめたレポートを瞬時に作成したり、散在しているWord文書やExcelシート、PDFファイルなども一括で読み込み、会議向けのプレゼンテーション資料へと素早く変換できます。

ppt形式にも変換ができますが、生成された内容を基に「調整」が必要です。
AIシート機能
これは従来のExcelやGoogleスプレッドシートと違い、AIが常にバックグラウンドでサポートしてくれる点が特徴です。
- 自然言語での指示だけでデータ収集から分析まで自動化
- 複雑な関数や数式を使わずにデータ処理が可能
- 美しいグラフやレポートを自動生成
- 複数の情報源からデータを統合し、分析結果を提示
例えば、「この1年間(2024〜2025年)」でROI(費用対効果)が特に高かったAI関連コンテンツ/施策の上位10件」といった質問には下記のようなシートが出力で返ってきました。


自律型AIデータ分析機能
GenSparkの最新機能として、高度なデータ分析能力も注目されています。これにより、複雑なデータセットの分析や、インサイトの抽出が容易になります。
- 自律性の向上:環境に対して自主的に反応する能力が強化
- 学習能力:機械学習技術を用いて実行精度と効率を向上
- コミュニケーション能力:人間との対話を通じて複雑な分析要求にも対応
- 複数のAIモデルによる総合分析:異なるAIモデル(GPT-4o、Claude、Geminiなど)からの分析結果を統合
これにより、市場調査や競合分析、顧客データの分析など、高度な分析タスクを最新情報を持ったAIに任せることができるようになります。
Gensparkの活用シーン


ビジネスでの活用
Gensparkはビジネスシーンで多様な活用方法があります。
1. 高度な市場調査・競合分析
- 「来期投入予定の新製品Xについて、ターゲット市場の動向、主要競合の戦略、価格設定の妥当性を分析し、包括的なレポートを作成して」という指示で、数日かかっていたリサーチ業務を数時間、あるいは数分で完了。
- 最新のニュース記事、業界レポート、SNSのトレンド、顧客レビューなどを自動収集・分析。
2. 複雑なデータ分析とレポート作成
- 社内の売上データ、顧客データ、Webサイトのアクセスログなどを統合的に分析。
- 単にデータを集計するだけでなく、統計的分析や将来予測まで行い、視覚的に分かりやすいグラフやチャートを含むレポートを自動生成。
3. パーソナライズされた顧客対応
- 顧客からの問い合わせに対し、過去の購買履歴やサポート履歴、Webサイト上の行動などを瞬時に分析し、一人ひとりに最適化された回答や提案を自動生成。
- より複雑な相談やクレームに対しても、関連情報を踏まえた上で解決策を提示。
4. プロジェクト管理の自動化
- プロジェクトの目標と期限を設定すると、タスクの洗い出し、担当者の割り当て案の作成、進捗状況のモニタリング、遅延リスクの警告などを自動で実施。
- 関連ドキュメントの整理や、会議の議事録作成、関係者へのリマインダー送信なども代行。
5. ソフトウェア開発の加速
- 「ユーザー認証機能を持つシンプルなWebアプリケーションのプロトタイプを作成して」といった指示で、基本的なコードを自動生成。
- コードレビューの補助、バグの特定と修正案の提示、テストケースの自動生成など、開発プロセスの様々な段階を支援。
個人利用での活用
個人でもGensparkの高度な機能を様々な場面で活用できます。
1. 旅行プランニングや予約
- 「来週末、京都へ一泊二日で旅行に行きたい。予算は〇〇円以内で、紅葉が綺麗で、美味しい湯豆腐が食べられる宿を探して予約までして。移動手段は新幹線で、おすすめの観光スポットもいくつか提案してほしい」といった曖昧なリクエストから、具体的な旅行プランを作成し、各種予約まで完結。
- AIが代わりに電話予約もしてくれるため、煩わしい電話対応から解放。
2. 高度な情報収集と比較検討
- 「最新のスマートフォンの中から、カメラ性能が高く、バッテリー持ちが良く、コストパフォーマンスに優れたモデルを3つ選んで、それぞれの長所・短所を比較する表を作成して」といった要求に対応。
- 複数のレビューサイトやスペック情報を横断的に調査し、分かりやすくまとめる。
3. 学習やスキルアップのサポート
- 「プログラミング言語Pythonの基礎を学びたい。私のレベルに合わせた学習計画を作成し、関連するオンラインリソースや練習問題を見つけてきて」といった指示で、パーソナライズされた学習カリキュラムを提供。
- 学習中の疑問点に対して、分かりやすい解説や具体例を提示。
Gensparkの利用料金プラン
Gensparkには無料プランと有料プラン(Plus)が用意されています。
無料プラン
- 基本的な検索機能
- AIの回答やSparkpage閲覧
- 簡易エージェント機能
- 検索回数などに制限あり
Plusプラン(有料)
- 料金:月額$24.99/月(年額払いの場合$19.99/月、年間$239.88)
- 無制限の検索
- すべてのAIエージェントへの優先アクセス(無料版の5倍の利用量)
- トップティアモデルへのアクセス(OpenAI o1、o3-mini、GPT-4o、Anthropic Claude Sonnet、Google Gemini、DeepSeekなど)
- 最新画像生成モデルへのアクセス(FLUX、Ideogram、Recraft、DALL-E、Gemini Imageなど)
- 最新動画生成モデルへのアクセス(Kling、PixVerse、Lumalabsなど)
- 無制限の高度なリサーチ
- 高品質なスライド作成機能
- 動画生成・編集機能
- AI電話機能
2025年5月現在、無料版でも主要機能のほとんどを試すことができますので、まずは無料版から始めて、必要に応じてPlusプランへのアップグレードを検討するのがおすすめです。
Gensparkの使い方ガイド
Gensparkを効果的に活用するためのポイントをいくつかご紹介します。
基本的な使い方
- ログイン: Gensparkのウェブサイトにアクセスし、無料アカウントを作成またはログイン
- 検索キーワードの入力: 画面中央の検索ボックスにキーワードを入力
- AIによる回答の参照: AIがすぐに回答を表示、ソース元も確認可能
- Sparkpageの閲覧: スクロールしてSparkpage(検索結果から自動生成された詳細情報ページ)を参照
スーパーエージェントの使い方
- ログイン後に「スーパーエージェント」を選択
- 目標や依頼内容を具体的に入力(例:「4月中旬に京都へ3日間旅行するプランを立てて。予算は7万円以内で」)
- 進捗状況を確認し、必要に応じてフィードバックを行う
- 最終的な成果物を確認・活用
AIスライド機能の使い方
- 「AIスライド」機能を選択
- 必要なファイル(PDF、Excel、Wordなど)をアップロード
- 作成したいスライドの目的や内容を指示
- 自然言語で細かな調整を指示(例:「もっとビジネスっぽくして」「この数値を比較したグラフを追加して」)
- 完成したスライドをダウンロードまたは共有
AIシート機能の使い方
- 左側メニューから「AIシート」を選択
- 使いたいデータや資料をアップロード
- 自然言語でデータ収集や分析の指示を出す(例:「この売上データから四半期ごとのトレンドを分析して」)
- AIによる分析結果やグラフを確認・活用
Gensparkと他のAIツールとの違い


Gensparkは、他のAIツールと比較して以下のような特徴があります。
ChatGPTとの比較
- ChatGPTが主に「質問に答える」ことに特化しているのに対し、Gensparkは「目標達成のための行動」まで自律的に実行
- ChatGPTは情報提供が中心だが、Gensparkはスーパーエージェント機能により実際の予約や計画立案などのアクションも実行可能
Perplexity AIとの比較
機能 | Genspark | Perplexity AI |
---|---|---|
アウトプットの内容 | テキストベースとSparkpage | テキストベース |
アウトプットの方法 | 複数のAIを使用 | 自然言語処理を使用 |
視覚情報(イラストなど) | あり | ほぼなし |
ファイルアップロード | あり | あり |
API | あり | あり |
自律エージェント機能 | あり(スーパーエージェント) | 限定的 |
Gensparkは、やや応答に時間がかかることもありますが、その分、情報を深掘りした詳細なアウトプットが可能です。一方でPerplexity AIは、よりスピーディーな応答が特徴で、出典情報を明示しながら要点を簡潔に伝えてくれます。
つまり利用シーンに応じて、両者を使い分けることで、より効率的かつ信頼性の高い情報収集が実現できます。
AutoGPTやAgentGPTとの比較
- オープンソースの自律エージェントツールと比較して、豊富なツールと日本語UIの使いやすさが特徴
- 専門的な知識やコードのセットアップが不要で、すぐに業務活用できる点が強み
Gensparkを使う際の注意点
Gensparkの機能を最大限に活かすためにも、以下の点に注意して下さい。
・情報の正確性:Gensparkは複数のデータセットや外部ツールをクロスチェックする仕組みにより、誤情報(ハルシネーション)の発生を抑えていますが、最終的な判断には人間の目での確認が重要です。特に重要な決断や資料作成の際は、内容を確認しましょう。
・プライバシーへの配慮:機密データをアップロードする場合は、念のため匿名化してアップロードするのがおすすめです。基本的にデータは暗号化されますが、企業の機密情報などを扱う際は注意が必要です。
・AI電話機能の利用範囲:AI電話機能は非常に便利ですが、現状では完璧ではありません。また、電話機能を使用する際は、相手が機械対応のお店を選ぶと成功率が高くなります(人間相手だと悪戯だと思われる可能性があります)。
・言語対応について:GenSparkは基本的に日本語でも自然に使えますが、専門用語などは英語も併記すると精度が上がります。また、一部の高度な機能は英語の方が精度が高いケースもあります。
よくある質問:FAQ
Q1. Gensparkは無料で使えますか?
A1. はい、基本的な機能は無料プランでも利用できます。AIの回答やSparkpage閲覧、簡易エージェント機能などが無料で利用可能です。より高度な機能や無制限の利用には有料のPlusプランへのアップグレードが必要です。
Q2. GensparkとPerplexity AIの主な違いは何ですか?
A2. GensparkはSparkpageと呼ばれる詳細情報ページを生成し、視覚情報(イラストや動画)も含めた充実した情報を提供します。また、「スーパーエージェント」機能によりタスクの自律的な実行が可能です。一方、Perplexity AIはより速く簡潔な情報提供に優れています。状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
Q3. GensparkのAI電話機能はどのように使えますか?
A3. Gensparkのスーパーエージェント機能を選択し、予約したい店舗名や日時、連絡先などの情報を入力するだけで、AIが自動で電話をかけて予約を代行してくれます。現在は機械応対のお店での利用が成功率が高いようです。
Q4. Gensparkの情報はどこまで信頼できますか?
A4. Gensparkは最大144のソースを参照してファクトチェックを実施し、複数のAIモデルによるクロスチェックも行っています。信頼性は高いですが、重要な判断をする際は情報源を確認することをおすすめします。
Q5. Gensparkはどの言語に対応していますか?
A5. Gensparkは日本語を含む多言語に対応しています。日本語での検索やプロンプト入力、回答表示など、ほぼすべての機能を日本語で利用することができます。
専門用語解説
- スーパーエージェント:ユーザーが設定した目標に対し、AIが自律的に「思考→計画→行動」までを一貫して実行できる次世代型AI機能。複数のAIモデルやツールを連携させ、情報収集から実行までを自動化します。
- Sparkpage:Gensparkが検索結果から自動生成する詳細情報ページ。テキスト情報だけでなく、画像や動画、図表なども含めた視覚的にわかりやすいページとして提供されます。
- AIコパイロット機能:検索中に生じた新しい疑問点をAIに対して質問できる仕組み。関連するトピックに関して質問したり新しいキーワードを入力したりして、追加情報を取得できます。
- ハルシネーション:AIが実際には存在しない情報や事実と異なる内容を生成してしまうこと。Gensparkではクロスチェック機能によりこの現象の発生を最小限に抑える工夫がされています。
- エージェント・オーケストレーション:複数のAIモデルやツールを協調させて動作させる技術。各AIの得意分野を活かしながら、より高度な問題解決を実現します。